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『春風亭与いちの二ツ目日記』第六回「年末」

どうも、メリークリスマスです。
いつも毎月15日に更新をしておりましたが、年末の忙しさにかまけて遅くなってしまいました。
街を歩いていると否が応でも飛び込んでくるイルミネーション、クリスマスソング、赤・白・緑。
それらを感じる度に
「ああ、早くクロークルームさんのコラムを書かなければ…」
と思っていたのですが。。。
気がつけばM-1が始まりました。
あー、見たい。
けどそんなことより書かなくては。
令和ロマンさんが1番手とは思えない高得点。
さや香さんが期待値上がり切った状態でも爆笑かっさらっている。
面白すぎる。
いかんいかん、一刻も早く書き上げなくては。
これを書き上げてもまだやることは沢山ある。
まずはお年玉を作らなくてはいけない。
我々噺家は正月に前座さん・お囃子さんに「(あけまして)おめでとうございます」と言われたらお年玉をあげなくてはいけない。
そんな素敵な風習がある。
それに二ツ目に関しては、正月初席に出番が無いのにも関わらず、お年玉をあげるためだけに寄席に顔を出しに行く。
大変素敵な風習だ。
もちろん私も前座の頃たくさん頂戴いたしましたので大変有り難いことです。
今年は新札の影響でなかなかピン札が手に入らないらしく、仲間たちがひーひー言っております。
が、私には全く関係ありません。
前座の頃いただいていたお年玉を全て、そのままの状態で保存してあるからです。
三つ折りになったピン札のお年玉四年分。
それらを自分のポチ袋に入れ直して渡している。
大量の千円札がただ仲間内を回っているだけです。
なにかと大変な年末ですが、先日ご褒美のようなお仕事をいただきまして。
「子供たちに絵本の読み聞かせをしてください。」
と。
遂に来ました。
今まで子供好きを言いまくってきた成果がやっと出ました。
「あ、もちろん落語もやっていただけると…」
普通は逆です。
「落語メインで、絵本"も"…」なら分かりますが、絵本メイン。
どちらも全力でやりました。
絵本作家の「せなけいこ」さんとのコラボカフェ。
そこに集まった親子連れ。
1番小さい子で3歳。
絵本は食い入るように楽しんでくれたのですが、
さあ、問題は落語ですよ。
まず"1人で登場人物を演じ分ける"というシステムを理解してもらえない。
まずは小噺から入ろうと、
「お母ちゃんパンツ破けた また(股)かい。」
というのをやってみた。
すると、その3歳の女の子が後ろを振り返って、
「ママ呼んでるよー!」
やはり難しい。
続いて蕎麦をすする所作をしてみる。
これは見た目で楽しんでもらえた。
よしよし。じゃあ、
「なんと、うどんをすする時は音が変わるんだよー。」
と言うと、その子がいきなり挙手をして、
「あたし、うどん食べたことあるー!」
もう最高です。
「うどん食べたことある人?」
とは聞いていないのにですよ?
その積極的な姿勢が嬉しくて、私は全力で褒めました。
「食べたことあるんだ!すごいね〜!!」
そしたら、自分も褒めてもらいたいと思った子供たちが続出して、
「僕もー!」
「あたしもー!」
話が前に進まないのに、凄まじい盛り上がり。
平和な学級崩壊のようでした。

今年も色んなところでお喋りさせていただき、
初めて年間高座数300を越えました。
クリスマスの今日も噺をひとつ教わり。
来年もがんがんやっていきます。
当面の目標はこのコラムをちゃんと15日にアップすることです。
来年もどうぞよろしくお願い致します。

略歴
春風亭与いち
1998年4月5日生まれ
2017年3月、春風亭一之輔に入門。
翌年1月21日より前座となる。前座名『与いち』。
2021年3月1日より二ツ目昇進。

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