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「酒番日記」映画、音楽、本、時々酒、のこと第9回

「酒番日記」映画、音楽、本、時々酒、のこと第9回

「酒番日記」 映画、音楽、本、時々酒、のこと   久しぶりの酒場にて またしても自身の過去を否が応でも振り返る 人生初のBARのこと、東京という大都会でのBARのこと   進学して間もない上京して3か月という若者二人がカウンターに座る 小さな声で 「ノンアルコールでお願いします」 思わず 「えっ?」という返事にさらに小さく 「僕らまだ19歳なんです」 見るからに緊張した面持ちの中の瞳を輝かせながらカウンターの端に座り 背伸びしたい丸まった背中の二人の前には 苦みと甘みのバランスが程よいカクテル「シャーリーテンプル」   真っ白で清潔感の溢れるシャツの襟を正しながらカウンターにたどり着くひとりの若者 「初めてなんです、どのように注文したら良いですか?」 聞けば23歳にして興味津々のBAR初体験の一杯は 日本生まれで世界発信したカクテル「バンブー」を少しだけ飲みやすく   少し前に23歳だった男性が距離の保たれた隣の席に座る 彼自身の路地裏の小さな酒場の体験を静かに語る彼の前には いつものお気に入りのカクテル「モスコミュール」 路地裏の酒場の3倍の長さがあるカウンターの端でグラスを磨きながら 心の中では「ありがとう」   丸い小さな灯りに引き寄せられた故郷の町の路地裏の懐かしく切ない記憶がよみがえる 重そうな扉に閉ざされたBARの文字 勇気を振り絞って押した先に広がる大人たちの空間 その気配に圧倒されながら戸惑い立ち止まる 偶然か必然かカウンターの端の一つだけの空席...

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「酒番日記」 映画、音楽、本、時々酒、のこと 第8回

「酒番日記」 映画、音楽、本、時々酒、のこと 第8回

1989年6月 渋谷スクランブル交差点 交差するたくさんの人波に3回やり過ごす信号 初めての東京渋谷 初めての人々との初めての仕事 今にも逃げ帰りたい日々を救ってくれたのは 街の至るところにある公園   整然と並ばされた木々の新緑が揺れる風の公園 コンクリート堤防を流れる川がたゆたう水の公園 波の立たない作られた海浜の暑すぎる砂の公園 運ばれてきた土と作られた木で出来たベンチが濡れる雨の公園 煙りが漂い大人が潜む子供のいない児童遊園   都会だからこその公園、街中の広場 行き場のない人や休息を求める人々が集う公の居場所、留まっていられる自由な場所   そもそも明治維新の熱冷めやらぬ江戸から東京へと変貌していくさなか 明治6年に布告された法律に基づく公園制度によるとか そのころの文言には「都市の肺臓」たるべし衛星環境のための公共の広場が云々とか PARKなのか GARDENなのか PUBRIC SPASEなのかはさておき公の広場として 地方大名江戸屋敷の広大な敷地跡や寺社の持ち物の土地を借り受けて整備したとか   2021年6月 数寄屋橋スクランブル交差点 誰よりも前で、誰よりも早くわたりきり、陽光きらめく日比谷公園に向かう 明治36年完成のこの公園 東京初の公共図書館、東京で初めてフランス料理を提供したレストラン、東京で初めての結婚式場 一般民衆がはじめて耳にする西洋音楽の舞台  ...

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「酒番日記」 映画、音楽、本、時々酒、のこと 第7回

「酒番日記」 映画、音楽、本、時々酒、のこと 第7回

晩春に初夏の光射し込む大都会の片隅の喫茶店  平積みされた濫読中の本と香り立つジャーマンローストコーヒー  大好きなコーヒーの香りで思い出す    海辺の町の酒場の頃  選曲されて流れ出る曲と酒を楽しむひとりの女性  いつものように頭の中に流れる音楽が次々に流れ出すその時間  その曲が流れたその瞬間、ふとうつむきハンカチを取り出すその女性  時間は弛まず流れ続けるその酒場  帰り際にひと言「ありがとう、また」と美しい笑顔のその女性  あえてここに曲名は書かない、その理由は今でもわからない    海辺の町を立ち去るその日  自身と同い年の喫茶店で最後のジャーマーローストコーヒーをいただく  その旨さ記憶に刻み席を立つ  普段は口数少なくロボットのような動きで忙しい店内を取り仕切る店長がひと言  「前から思っていたんだけど、歩き方がJazzですよね」  「え、そうですか」  「そうですよ」  「10代の終わりからJazzばかり聴いていたからですかね」  「そうですよ、きっと」    海辺の町のプラットホーム  Jazzな歩き方って、今でも答えはわからない    高校2年の思い悩むある日  地元のレコード店に立ち寄る、いつもの書店と違うその日  ふと見つけたタイトルと美しいモノクロ写真のCDジャケット  「As Time...

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「酒番日記」映画、音楽、本、時々酒、のこと第6回

「酒番日記」映画、音楽、本、時々酒、のこと第6回

「酒番日記」映画、音楽、本、時々酒、のこと街中に教えられた通りのスーツに着られ、スマホ片手に言われた通りのカバンを持った若者を目にする頃散り急ぐ桜の花と咲き急ぐ藤の花の下、ふと吉田健一著「酒談義」(中公文庫)の一説を思い出す。犬が寒風を除けて日向ぼっこをしているのを見ると、酒を飲んでいる時の境地というものに就て考えさせられる。そういう風にぼんやりした気持が酒を飲むのにいいので、自棄酒などというのは、酒を飲む趣旨から言えば下の下に属するものである。頭でっかちな酒の飲み方で、早く酔いたい一心でいれば、体の他の部分が承知しないから、それまでのむしゃくしゃした気持が悪酔いの不愉快な状態に変るだけである。むしゃくしゃしているのなら、面と向ってその気持なり、その気持の原因なり何なりを見詰めた方が男らしいように思える。尤も、酒を飲めばそれが一層よく出来るというのなら別で。それならばそれは自棄酒の部類に入らない。(本文より抜粋)35 年前人生はじめての自棄酒というものにやられた。自棄の理由は若気の至りのフラれた男子。人生はじめての二日酔い。人生はじめての大ケガがもとの、人生はじめてのヒゲ。記憶にあるのは転がった道路から見上げたきれいな春の夜空。そういえば今朝の新聞文化欄「飲みニケーション」どこへ行く、という記事を見た。「飲み二ケーション」は日本型社会の美点とさえいわれたが、そっぽを向く若者も増えている。「飲み会」は、どこから来てどこへ向かうのか、とはじまる文面。(朝日新聞文化欄より抜粋)35 年前の自棄酒以来、独り酒が多く自身も「飲み二ケーション」とやらは不得手であった。それでも、酒席での大切なコミュニケーションはとれていたと思うが…。民俗学者柳田国男著「明治大正史世相篇」(平凡社)の中で、独酌はたしかに又明治大正時代の発達であった。元来は酒は集飲を条件として起ったもので、今一つ以前は神と人と、共に一つの甕のものに酔ふという点が、面白さの源を為して居たのである、ともある。(本文より抜粋)酒で失敗した男の映画は数あれど、吉田健一著「酒談義」(中公文庫)、柳田国男著「明治大正史世相篇」(平凡社)をご一読あれ。今日はとっても演歌な気分、吉幾三「酒よ」でも。明治大正昭和平成令和、酒は何処へ向かうのか、などと大それたことを一考する日向ぼっこの桜のベンチ。手にしたコップに花弁一枚落ちてきた、今日もやっぱり独り酒。令和3 年4 月吉日酒番栗岩稔プロフィール:木挽町路地裏bar sowhat を終え、新たなステージで日々人に向かい酒を通して時間を提供する傍ら、ブランドマーケティング業、服飾業等の経験から事業提案、イベント企画運営、パーソナルスタイリング業も行う。来春から、インターネットラジオ局にて番組パーソナリティも予定するなど多岐にわたり活動

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「酒番日記」 映画、音楽、本、時々酒、のこと 第5回

「酒番日記」 映画、音楽、本、時々酒、のこと 第5回

「酒番日記」 映画、音楽、本、時々酒、のこと三寒四温という美しい言葉が似合いのこの頃、改めて酒場について考える映画「ゴッドファーザーpartII」のなかで裏切った仲間を暗殺する場として選ばれたのは開店前の薄暗い酒場店の主人がグラスを磨き、明かりのない店内で外光とグラスの輝きだけが象徴的なワンシーンデイビット・リンチ監督作品「ストレイト・ストーリー」の美しいラストシーンにむかうひとコマ戦後酒を断っていた70代後半の主人公と10年来、ささいな口論がもとで断絶していたその兄病に倒れた兄の元へ自分が唯一行くことができる手段「トラクター」で500km以上旅をするひたすらまっすぐに旅を続け、兄の所在がようやく明らかになり、旅の終わりの見えた安心感と喉の渇きを潤す町外れの酒場でアメリカ製の瓶ビールを旨そうに飲む主人公「もう一本いくか?」「いや、これでもう十分」年の頃が似通った二人が交わす最低限の必要な会話の後、場面が変わりエンディングへと向かう映画もさることながら、ラジオでも酒場を舞台設定にした番組が多数、日本歌謡の名曲「酒場にて」数え上げたら切りがない酒場の場面とその景色少しだけ日が伸びた夕暮れの街を歩く明かりのつかない酒場を眺めながら、30年前のマスターの言葉を思い出す「酒場の明かりはね、消したらダメなんですよ。行きたいと思った時に必ず開いていないと寂しいでしょ必ず開いていて明かりが灯っていて出迎えてくれる酒場じゃなきゃ…。」長い長い高架下の商業施設、明かりが消えた店舗の中少しだけ明かりが洩れる入り口の休業の貼り紙に肩を落とし立ち去る時に感じる人の気配カウンターの明かりを灯し、グラスを磨き酒瓶を磨く店の関係者に少しだけの安心感と再来を決意そういえば「バーテンダーの仕事って何ですか?」という質問に「バーテンダーはね、掃除ですよ、掃除…。」そんな誰かの言葉も思い出す。この春、片付けを終えた何もない酒場に残るドライフラワーは知らずに訪れた人への感謝と詫びの標最後に花束を贈ってくれた、普段より少しだけドレスアップした男性とシックな色合いの美しい女性「今日はここにあいさつに来るからやっぱりスリーピースでなきゃ」と会話を交わす紺と白のコーディネーションが美しい40代の男性必ずジャケットを羽織り、一杯しか飲めなかった酒がいつしか二杯飲むようになった20代初めの男性もいまでは30代目前「生存確認だからな」と言ってジントニック、時にはマティーニを一杯だけ飲んで帰る70代後半の男性たくさんの美しい景色に彩られた酒場の時間鍵を渡し、明かりを落とし、町に別れを告げるその手にはホウキと雑巾最後の曲はやっぱり、Miles Davis/Kind of Blueより「So What」夕暮れから夜にむかう、大好きなすき間の時間今日も必ず開いている、外光射し込む酒場にて、30年来の仲間のもとで、ビールを一杯だけ令和3年3月吉日酒番 栗岩稔プロフィール:木挽町路地裏bar sowhat を終え、新たなステージで日々人に向かい酒を通して時間を提供する傍ら、ブランドマーケティング業、服飾業等の経験から事業提案、イベント企画運営、パーソナルスタイリング業も行う。来春から、インターネットラジオ局にて番組パーソナリティも予定するなど多岐にわたり活動

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『酒番日記』映画、音楽、本、時々酒、のこと 第4回

『酒番日記』映画、音楽、本、時々酒、のこと 第4回

「酒番日記」 映画、音楽、本、時々酒、のこと春の声が聞こえてくる街を足早に急ぐ保険関係らしき4人の男前列左、手ぶらで歩く一番の上司、前列右、真顔で早口に説明をするその部下後列左、スマホを眺めるその部下、後列右、笑いながら話をするそのまた部下先頭左、紺のスーツに不自然な硬さに見える白いシャツ、紺ストライプのネクタイ不自然に光る皮革のような黒い靴先頭右、紺のスーツにヨレヨレの白いシャツ、弛んだ紺のネクタイ、黒のスニーカー後列左、少し明るめの紺色で寸足らずのスーツにブルーのシャツに青いネクタイ磨かれていない黒の革靴、裾から覗く黄色い靴下後列右、ヨレヨレの紺のスーツにブルーのシャツに喉仏が見えるほど弛んだネクタイ踵が斜めに削れた色あせた茶色の靴春の光あふれる午前8時にふと想う否定はしないが、何かが違う、大丈夫かな、日本人15年以上前、まだ寒い2月のロンドンの街角のとある商談の場紺無地スリーピーススーツにサックスブルーのシャツ、紺無地のネクタイの日本人仕立ての良い紺無地のスーツに白いシャツ、弛むことのない紺無地のネクタイ磨き上げられた黒いビジネスシューズの英国人男性和やかに時間が流れ商談が終わる紺無地のチェスターコートを手に持ち、レザーグローブを左に右手で握手微笑みながら英国人のひと言「ところで、なぜ今日はエドワードグリーンの茶色のタウンシューズなんだい?」しばしの絶句の後のひと言「申し訳ない…」気の利いたジョークを返すことなく、日本人得意の作り笑いで取り繕い夕暮れ迫り寒さ沁み入る街を向かった先は少しだけなじみの小さなパブ商談の成功と自身の反省に、ビールがすすむロンドンの日本人そういえば以前観た映画の中で地方から大都市に引っ越す孫に言う祖母のセリフ「何か困ったことがあったらその人の靴を見て判断なさい」タイトルも年代も忘れた映画のセリフを思い出す春色膨らむ街角で頭の中に流るるは「Thelonius Monk/Solo Monk」よりThese Foolish Things (Remid Me of You)やっぱりジャズ…令和3年2月吉日酒番 栗岩稔プロフィール:木挽町路地裏 bar sowhat 店主として日々人に向かい、酒を通して時間を提供する。ブランドマーケティング業、服飾業等の経験から、事業提案、イベント企画運営、パーソナルスタイリング業も行う。来春から、インターネットラジオにて番組パーソナリティも予定するなど多岐にわたり活動。

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『酒番日記』映画、音楽、本、時々酒、のこと 第3回

『酒番日記』映画、音楽、本、時々酒、のこと 第3回

「酒番日記」 映画、音楽、本、時々酒、のこと寒さ深まる初春の午後、ヴィンテージのZIPPOオイルライターで火をつけるタバコ吸いの肩身が狭い今日この頃の路地裏の片隅でそういえばこのライター、リーヴァイス501の腰ポケットにピッタリ収まるサイズと面取りされた無骨過ぎない形がお気に入りだった若い頃無類のコーヒー好き、おまけにナポリタンスパゲッティにも目がなくランチセットなどの看板が出ていたら迷わず飛び込む喫茶店自分の好みとあれば、いつもの曜日にいつもの席にいつもの時間でいつものメニュー少しでも認識してもらえるかもしれない小さな小さな作戦計画その日もいつものようにいつもの席に座る店のホール担当の女性が水を置きながら 「いつもの?」「はい、お願いします」あいさつ以外のたったひとつの会話少しのハムとマッシュルーム、ピーマンスライスの緑が効いたナポリタンスパゲッティ食べ終わるころに運ばれて来る、強めの焙煎の豆をサイフォンで入れたブレンドコーヒーそして至福の一服飛び散ることのない灰と吸い殻がきれいに分かれた灰皿とコップを残して席を立つ東京渋谷への転勤が決まり、出発日のランチに迷わずいつもの席でこの日だけは一本多いタバコの吸い殻を残して席を立ついつもはさりげなく流れる店内の音楽のヴォリュームが一段上がる当時大流行したプリンセス・プリンセスの「M」に足を止める「ありがとうございます」「いってらっしゃい」ひとこと多いその日の会話あれから30年以上が過ぎた今宵、いつものバーのいつもの席でいつもの酒手には小さめの葉巻と専用ガスライター、カウンターにきれいな灰皿とグラスがひとつ大切な少しの時間と積み重ねて来た大切なたくさんの時間葉巻と白い灰がきれいに並びグラスが空になりかけた頃デューク・エリントンとジョン・コルトレーンの名演「In A Sentimental Mood」のヴォリュームが上がるこんな夜は女性ヴォーカル無しのひとりの時間を、ジャケットの衿を正して、背筋を伸ばして令和3年1月吉日酒番 栗岩稔プロフィール:木挽町路地裏 bar sowhat 店主として日々人に向かい、酒を通して時間を提供する。ブランドマーケティング業、服飾業等の経験から、事業提案、イベント企画運営、パーソナルスタイリング業も行う。来春から、インターネットラジオにて番組パーソナリティも予定するなど多岐にわたり活動。 

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『酒番日記』映画、音楽、本、時々酒、のこと 第2回

『酒番日記』映画、音楽、本、時々酒、のこと 第2回

『酒番日記』映画、音楽、本、時々酒、のこと師走に入り、大雪を迎えた夜にふと想い出す。あの女性がはじめて訪れた寒かった夜のこと。「あまりお酒が強くなくて…」そういう彼女のお好みは、ワインベースの薬草酒ヴェルモットのロッソをオンザロックスで。空間が保たれた手指でグラスをやさしく持ち、柔らかに微笑みながら少しずつ口に運ぶその姿。酒だからといってその姿勢が崩れることもなく、酒場のカウンターの幅が広く感じるその佇まい。「ごちそうさまでした、おやすみなさい。」そう言い残し、赤茶色のコートを手に、静かに扉を開け、優雅にコートを羽織る路地裏の風景。美しい景色に乾杯、とでも言いたくなる、寒かった夜の温かなひと時。時が流れ、暑かった夏の終わりのある日の夕暮れ。斜陽射し込む路地裏に、夕焼け色のワンピースを上品に着こなし、その女性は現れた。「今日は何をいただこうかしら…」酒場の主が徐に作りだしたその酒は、カンパリの赤、ヴェルモットの茶色が程よく溶け合い、ジンの香りと程よい苦みが、夏の夕暮れに似合いのカクテル「ネグローニ」「あ、美味しい…」カウンターの幅と空間が気にかかる暑かった夏の終わりのある日の夕暮れ。「ありがとうございます、いってきますね」夏の終わりの音に紛れたその言葉。年を重ねた師走大雪のころその夜の注文は「Stinger」針とか棘とか、そんな意味を持つ透明感のある茶色のショートカクテル。「ありがとうございます」その言葉を最後に、その美しい景色は二度とない。今年も寒い夜がやって来た。誰もいない夜更けには、Sophisticated LadyをBoz Scaggsのヴァージョンで。令和2年12月吉日酒番 栗岩稔プロフィール:木挽町路地裏 bar sowhat 店主として日々人に向かい、酒を通して時間を提供する。ブランドマーケティング業、服飾業等の経験から、事業提案、イベント企画運営、パーソナルスタイリング業も行う。来春から、インターネットラジオにて番組パーソナリティも予定するなど多岐にわたり活動。

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『酒番日記』映画、音楽、本、時々酒、のこと 第1回

『酒番日記』映画、音楽、本、時々酒、のこと 第1回

みなさんこんにちは。The Cloakroom TokyoWEBマガジンのリニューアル準備号、関先生の『美食通信』はお楽しみいただけましたでしょうか。今回はいよい正式スタートの第1回として知る人ぞ知る路地裏の名店bar sowhatの店主、そして酒番である栗岩稔氏による新連載『酒番日記』映画、音楽、本、時々酒、のこと の第1回をお届けします。前職の上司であり、男臭さの先生であり大先輩として尊敬してやまない栗岩さんに寄稿いただけるなんて私には夢のようなことです。ちょっとピンチでも、世の中が荒れていても、いろいろ上手くいっていない時でも、誰のためでもなく自分のために格好つけていたい。(結果モテたい)bar sowhatのカウンターに座り栗岩さんからグラスをサーブされると、格好つけることの大切さを思い出せる。私にとってbar sowhatはそういう場所です。今だからこそ、皆様にもそんな気分をお伝えできれば嬉しいなと思います。『酒番日記』 映画、音楽、本、時々酒、のこと小さな酒場の壁面を埋める大きな本棚、そこにある ED VAN DER ELSKENのモノクロ写真集「JAZZ」トランペットを構える袖口からきれいに覗くドレスシャツの真っ白な袖,その巾と違わない衿廻りの白。表紙を飾る黒人トランぺッターのその写真には躍動感がありながら整然とした美しさが漂う。そのステージでは必ずと言って良いほどダークスーツに白のドレスシャツに蝶ネクタイというスタイル。ボーカルセクションで腕を下ろしている時は気づかないが、いざトランペットを構えると覗く真っ白な袖、もちろん衿も同様に。若いころには生活のために紳士服の仕立て工場で働いていたともいうその経験から来るのかそのスタイルには一本筋が通り、二度と同じ演奏がないとも言われる刹那的なJAZZのステージで自分を精一杯表現する強い意識が感じられる。不協和音と彼独自の美しい旋律から人々を魅了したピアニスト/セロニアス・モンク。彼は人一倍自身のスタイル気を配ったと言われている。そのスーツ然り毎回違う帽子、サングラス等小物にも気を使った独自のスタイルが浸透している。彼のお話は改めて。2人が同じ映画にそれぞれに出演する「真夏の夜のJAZZ」夏の終わりのニューポートジャズフェスティバルのライブ映像も必見夏が終わり秋らしい光あふれるある日の夕暮れ、ネイビースーツに白のドレスシャツ、紺のネクタイという、いつもよりかしこまったスタイル。商談の帰りらしく、少しだけ疲れが覗くその袖口とは反対に達成感がにじみ出るその佇まい。いつものバーボンソーダをひと口、漏れ出る安堵のため息、そしてもうひと口と柔らかな笑顔。令和2年11月吉日そんな姿を思い出しながら今日もまた酒場の扉が開くこんな日にはLOUIS ARMSTRONG /What A Wonderfull World を。酒番 栗岩稔プロフィール:木挽町路地裏 bar sowhat 店主として日々人に向かい、酒を通して時間を提供する。ブランドマーケティング業、服飾業等の経験から、事業提案、イベント企画運営、パーソナルスタイリング業も行う。来春から、インターネットラジオにて番組パーソナリティも予定するなど多岐にわたり活動。 

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