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『酒番日記』 映画、音楽、本、時々酒、のこと 第17回

新年度がはじまった
毎年目にするロボットのような若者
紺のスーツに白いシャツ、臙脂のネクタイ、黒い靴
黒のスカートスーツに白いシャツに黒いパンプス
手には監理されているかのようなスマートフォン

先輩と連れ立って歩く姿は緊張気味、通勤車内はスマホと対話
構内ではスマホ片手にうつむき歩きでスマホ頼みの乗り口案内
街中では片手にスマホ片手に傘、見るのは画面の道案内
気にしなければ良いとは思いながらの何だか気になる雨の大手町

4月になると「制服」のようなスーツ、前年までは「リクルートスーツ」
そのものの歴史が気になり書店に急ぐ、スマホではなくアナログで

「リクルートスーツ」という日本独自の慣行とされるその造語
英語に当てはめると「interview suit」というらしい

これもまた日本独自の慣行とされる「就職協定」
これによる採用確定とその就職活動時期の集中
2018年まで「就活ルール」と名を変えて続いた紳士協定という名の「慣行」
そもそも「慣行」という言葉も学問的な用語として確定しているとは言えないらしく…
これがはじまった1970年代後半に持ち込まれた親からの相談
「何を着せたら良いか?」
この相談に対応を仕切れなくなった学校関係者が百貨店に相談
こうして売り出された就職用スーツ「リクルート」という名のスーツ

就職協定が確立されたことによって
一斉に行う採用活動を生み出し、一斉に行なわれる就職活動を生み出し
その服務規範も一律ではないかという憶測、推測、予測
訪問する企業に幅広く通用する外見を知りたいという欲望

こうしてはじまった「リクルートスーツ」そのはじまりは1977年9月とのこと

昨今では服装による個性表現を推奨する傾向があり
実際「個性的」な外見を目にすることが増えたのは事実ではあるものの
当たり障りない服装でまとめるのは当然のことかとも思う

そもそも就職活動の際の服務規範を問われたところで
何も知らずにこれから社会に出ようとする若者にはわかるはずもなく
やはり雇う側、相談される側、伝える側、売る側の責任は大きいと思う
伝えたいことが山ほどあり、それを伝えたいと思いながらも
大手の服飾に携わる企業の様に「間違いない服」を提案してしまうかもしれず
これが「常識的な服」として伝えてしまうかもしれず…
「個性的」という言葉の意味や対義語に思い悩む今日この頃


雨を避けた久しぶりのメトロ車内で耳にした会話
「この次、どうする?」
もちろんスマホに目をやりながら
営業先か何かの相談と思える問いかけに
「次?次はもっと給料が良いところかな」
と、4月の会話に驚いた雨のメトロの大手町

汚れたピンクの花弁張りつく東京で
「向上心」の意味をも考える雨の4月の午後

新しい春を迎えたみなさまへ
いろいろなことが起こる今もこれからも
少しでもやさしい時間になりますように

Diana Krall, Nat King Cole などの名演数あれど今はこの人で
A Blossom Fell / Sue Raney
令和4年穀雨を迎える頃に
酒番 栗岩稔

参考文献/リクルートスーツの社会史/田中里尚著/青土社

栗岩稔プロフィール
鎌倉THE BANK、 銀座7丁目クロージングサロン、木挽町路地裏の酒場 bar sowhat、銀座5丁目 Ginza Sony Park Bar Morita で大人の集う酒場を作り上げ
人と酒と酒場をその歴史や文化から掘り下げ伝えていく唯一無二のフリーランスの酒番として活動中

2021年夏よりパーソナリティを務める WAH! Radio www.wahradio.org  でお耳にもかかれますように

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